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観た/読んだ

新装版 メダロット コイシマル編/ほるまりん
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ついに読んだ(2/27)
面白かったのであとでちゃんと感想書く

感想書いた!(3/11追記)

コイシマル編のメダロット5とG
悪の組織と戦ったり、メダロットの起源や人間との共存という壮大なテーマを掲げたイッキ編とは打って変わって、コイシマル編は転校生のコイシマルくんが小学校のメダロット部でお友達をたくさん作っていく日常モノのような作品だった。
スケールダウン感は否めないけれど、"メダロットとはこういうもの"という世界観をヒカル編、イッキ編で説明してくれたからこそ「メダロットがいる世界の日常」という形でコイシマル編が描けたのではないかなと思う。
部活という背景があるからかロボトルがスポーツみたいに描写されてるのも好き。バトルシーンの描き方も前作までよりページを割かれてる気がして、わかりやすく描かれているな〜と思った。ゲームにある充填・放熱の要素が取り入れられていてその分戦闘のテンポが悪いと感じる人もいるみたいだけど私はあんまり気にならなかったかな。
最初はひとりぼっちでつまらなそうにしていたコイシマルくんがメダロットを通じて部員や村民と知り合い、最終的にはお友達がたくさんできたのは素直に微笑ましかった。

コイシマル編で徹底しているなと思ったのはメダロットは人間のパートナーだということ。オバケちゃんたちは違うけどコイシマル編ではメダロットが単独で行動してるというのは少なくて、必ず誰かの所有物(言い方がよくないな)として出てきている印象だった。
そしてこれは漫画版全編に共通してることだけど、みんなちゃんと機体名ではなく個別の名前を与えられているのがとても良いよね。メタルビートル(機体名)のメタビー然りクロトジル(機体名)のオメダ然り。コイシマル編は一人で複数とメダロットを操る人も出てくるけど、みんなそれぞれに同じ機体でも別の名前つけてるところに愛を感じる。
メダロットが人々に愛されている友達というのがよくわかる描写だなと思います。

そしてコイシマル編の本題。
「メダロットがいる日常」と「メダロットは人間の友達」というやさしい世界で暗躍する、アラクネイトちゃんとパートナーのメダロット・ハードネステンによって突きつけられる「メダロットと人間の寿命の差」という問題。
メダロットがいるのが日常であり、メダロットは友人だからこそ響いてくる問いかけなんじゃないかなと思う。

イトちゃんの願いはマザーメダロットにお願いして自分の心をコピーしたメダロットを作ってもらい、ハードネステンと共に長生きすること。
鋼のボディのメダロットと生身の人間の寿命は当たり前に違う。主人を亡くしたメダロットはヒカル編のロクショウや、(主人を亡くしたと言うと厳密には違うけど)廃校になった小学校で授業を続けるセキゾーのように本編に関わってきたメダロットもいたけれど、どのメダロットもどうにもならない悲しみを抱えていたんですよね。
パートナーを大事に思うイトちゃんは自分の死後ハードネステンをひとりぼっちにしたくないの一心で自分のコピーを作ることを望むわけですが……。この世界観でもイトの考えはかなり特殊なようでコイシマルくんたちにはあまり受け入れてもらえなかったようです。

まぁそれはそうなんよ。自分のコピーを作ったとしてそれはイトちゃんが長生きしたと言えるのか?とか、あまりにパートナーのメダロットのことしか考えてなさすぎるでは?とか、30歳で自分の死後のこと考えるか?とか…メダロットと人間の寿命の差はこの世界では深刻なテーマではあるけれどイトが願う方法は寄り添い方としてそれはどうなんだ?と思ってしまうんですよね。

ここで興味深いのがイトがマザーと対峙するシーンでハードネステンが「私の願いを叶えて」と言うこと。イトのコピーはハードネステンが望んだことなんだ……という事実がね……。

話は変わりますがコイシマル編ではたっくんというメダロットが出てきます。
コーマドッグという機体で、コイシマル編の17年前にあたるヒカル編と同世代のかなりの旧式。
コイシマルがバス停で見かけたメダロットで、主人は近くに見当たらず迷子の様子…。なのですが、たっくんは恐らく主人を亡くしたか捨てられた野良メダロットなんだろうな。
同じ場面で老犬と飼い主が出てきて、いずれ来るお迎えのときを覚悟しているという話もするので多分たっくんは前者なのでは…と私は思っている。
犬や猫などのペットならば人間との寿命の差は明らかなので、きっと飼い主の皆さんは別れを覚悟しながら彼らを迎えるんだろう。でもメダロットと人間の場合はどうなのか。自分よりずっと早く逝ってしまう主人との別れを覚悟しながら人間と共に過ごすメダロットはいるのだろうか。いずれパートナーを残していくことを考えながらメダロットを購入する人間はいるのだろうか。
ずっとバス停から動かないたっくんを見ているとなんとも言えない気持ちになる。

最初のほうでコイシマルくんはメダロットを通じて友達をたくさん作ったと書きながら思ったけど、逆にイトは親しい関係性を持つ人間がいないんだよね。
例えば、自分の死後ハードネステンをひとりぼっちにしてしまうのなら子どもに託すとか…自分の血のつながった子どもじゃなくてもパートナーを大事にしてくれる後継者に譲渡するとか…自分が寄り添うほかにも孤独を防ぐ方法はいろいろあると思うんだけど、イトちゃんはあまりにメダロットのパートナーへの想い一辺倒で人間社会との関わりを絶っているように思えてならない。
人間社会で嫌なことがあったのかな?とすら邪推してしまうほどイトはメダロットのハードネステンと共に過ごすことしか考えてないんだよね。
友達をたくさん作ったコイシマルくんと人間関係0のイトちゃんは対照的に描かれている…というか何をどうしても分かり合えなそうな。コイシマルとイトは作中で一番遠い位置にいるふたりという気がする。

賢いイトはいずれ来る別れをハードネステンに話したんだろうな。イトと共に在りたいハードネステンはイトの長寿を願い、人間社会に嫌気が差している(たぶん)イトはそれを喜んで受け入れ、自分のコピーを作るという考えに至ったとか…そんなことを考えてしまうなあ……。ゲームの方でこの辺詳しく描かれているんだろうか?漫画版のふたりの結末はかなり悲しいものだったけど、それこそメダロットが取り替えの効く鋼のボディを持つが故の希望もあるんですよね。メダルが無事ならね…きっと無事だよね…でないと悲しすぎるよ……。

イトの問いかけはこれが正解だという答えはないんだと思う。人間とメダロットの両者が話し合って納得できる方法に落ち着けるしかないだろうし、それは各々の人間とメダロットの関係性によって変わってくる三者三様のものだろうし。若さゆえか、まだ答えが出ないが今がとりあえず楽しいというコイシマルくんのきもちも大切な意見の一つですね。

今作もヒカル編イッキ編と同じくらい深く考えさせられました。感想どう書いたらいいか悩んでしまった。
とにかく私はコイシマルくんと仲間たちとすすたけ村が好きになってしまったので、ゲームの5とGも遊んでみようと思います。楽しみ!
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全然感想では触れてないけどキャラクターはヤマトくんとヒコオくんが好きかな。
ヤマトくんとにかくお顔がかわいい。美少年。かわいい。おめめとおくちがかわいいよね。
ヒコオくんはあの小さい村で「村長の息子」と「外国人の母」という否が応でも目立つ要素を与えられまくってよくまっすぐ育ったなと…メダロットのライバルキャラは爽やか光属性坊ちゃんばかりだけどみんな私好みで困っちゃうな。ゲームで戦うのが楽しみだ。

#メダロット #[メダロット5]

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